ソロル集

書いたソロルを置く場所です。自由にソロルを落として行ってください。

アイコン設定
投稿者さん使い方

みくろんさん (8x6jvy5i)2023/11/12 10:22 (No.79543)削除
【幻影の嘲笑、少年の苦悩】


怠惰領地を去った後、彼はとある空間に居た。


其の空間は上下が存在せず、植物や建物があるのは確認できるが、曖昧に揺れ動いていて少し不気味だった。


少年…スティルスは何を考えたのか虚空に向かって呼び掛けた。


「居るんだろ?アザゼル・ファンタズム」


其の言葉を待ち望んで居たように、虚空からゆらゆらと揺れる人影が現れる


『あは…あははははははは!嫌われちゃったね?スティルスくん』


心底滑稽だったというように桁ましく嗤うアザゼルと呼ばれた人影。


「煩いな…元を言えば君のせいじゃないか」


鬱陶しいという表情を、スティルスにしては珍しく全面に出して言い返す。


『“あれ„はボクの能力だけど使ったのは君じゃない?』


アザゼルの言うように、“幻想世界„と“幻影崩壊„はアザゼルの能力であり、其れをスティルスが“一時的に„奪った。


「…そうだね。“あれ„は僕が悪い」


スティルスはあの子と同じような境遇だから、今頃“あの時„を見ても苦しむだけなのは分かったはずだ。でもスティルスは理由を明かそうとせず、何時も通りの笑みを浮かべる。でも其の笑みは何処か無理しているようだった。


『あはっ。ところで何でキミはあの子に執着するんだい?たかが数千年しか生きていない人間なんて、キミが気にすること無いだろう。ボクは面白いから全然良いけど。』


そしてアザゼルはスティルスに問いかける。素直に悪魔の様な事をぬけぬけと言い放ったが。


「だってあの子は救われ無かったら可哀想でしょ?後…師匠もちょっとは変わるかも知れないしー?」


まあ他からすれば良い迷惑だけどね、と付け足した。
さも当然というようなスティルスの言葉にアザゼルは、数秒虚を突かれた様に黙り込むが直ぐに笑い出す。


『…あはは!やっぱりキミはお人好しだよ。キミを“観る„のは実に面白い』


人影は笑う。アザゼルが何にしろ、此の少年を、スティルス・エヴリィを何処かでずっと“観て„いるのは確かなのだろう。


「まあそろそろ強欲は裏切りたいね。司教の七人にどんな関係があるのかも知りたいよね。」


スティルスはそうは言っているが、もう調べているのだろう?只答え合わせがしたいのか、其れ以外に何か目的があるのか…作戦は深く、深く。


『どうなるのかな?楽しみだよ。ボクも』


アザゼルは基本、前のようなスティルスが強く望む事態にしか力を貸さない。だからスティルスの行動は読むことができないから面白がるのだ。


「それじゃあね。アザゼル・ファンタズム」


『あはっ楽しみに待ってるよ。此の世界の行く先を!“幻影崩壊„』


謎の空間は崩れていき、スティルスは元の…怠惰領土の直ぐ外に居た。


「…僕は悪役で良い。それで皆が幸せに成ってくれるなら。僕は邪神を越えて、世界神を殺す。」


彼は心の奥底に大きな闇を抱える。其れは永遠に


世界平和を望む少年は、知らず知らずの内に友を欲しがっている。


スティルスは自分の頬を流れ落ちた、一筋の涙に気付いていなかった。
返信
返信0
エドさん (8ufab156)2023/11/5 22:27 (No.78434)削除
〖親愛なる貴方に一番の憎しみと愛を〗



"桜の木の下には死体が埋まっている"



「桜が死体の血を吸い取っているから、綺麗なピンク色になるらしいよ。面白いよね。」



音を立てながら桜の木の下を掘る人影。
ニヒルな笑みを浮かべながら動かないものにまるで生きているかのように話している。



「ねえ、今回はどれなの?動かないし傷も治ってない辺り死体だけ残して別の場所で生き返ったか死んだフリをしてるだけか、どれ?」



何度も動かないソレに問いかけど返答は帰ってこない。
死んだフリしてるだけなら相当な薄情者だよ?と苦笑する。
人が1人入れるくらいの掘り終えたら動かないソレの前でしゃがむ。
何も感じられないソレの服を掴んで持ち上げる。



「お前は何回死んだの?私は何回殺したの?」



心底不思議そうに問い掛ける。
現世の懲役から逃れたいからお前は不意討ちに気付いる癖して見て見ぬふりをする。
結果死ななくて何なら返り討ちにしてしまう、流石愛されない才能の持ち主。
家族が嫌いなのに愛される凡才と家族に愛されたいのに殺される天才、嗚呼なんて面白い組み合わせだろう。
他人より少し出来るだけで可愛がられる才能の一欠片すら持たない凡才は天才に全てを奪われた、何もかも天才の下位互換。
互いの欲する物を互いが持って嫌いあっているのに片方が死ねば片方も死ぬ共生の運命にある、嗚呼なんて哀れなんだろう可哀想、心底思う。



「お前が死ねば私も死ぬ、私が死ねばお前も死ぬ。お前は私を殺すことなんて容易いだろう?私を殺せば自分も現世から逃れられるだろう?なのに何で殺さない?」



顔だけは似ている抜け殻のソレに何度も問い掛ける。
ニヒルな笑みは剥がれ落ち、ただただ疑問を投げ掛けている。
掘った穴に、死体を投げ込んでまた埋める。
桜は綺麗なピンク色の花弁を散らせる、手に乗った花弁を握り潰す。



「Morte、私は只今お前が憎い。」



散った桜の花弁が、涙のように頬を撫でて落ちた。



親愛なる貴方に一番の憎しみと愛を。
返信
返信0
瑠璃紺さん (8u9o9jsw)2023/10/30 13:39 (No.77112)削除
黒炎の起点、黒き災厄の再来




あれは…何年前の話だったのだろうか。少なくとも、十年はないのは覚えている。
あの戦争が、いや…あの日をきっかけに、俺の全てが、人生が変わってしまった。勿論クソな方向にな。あの時はもう、本当に気が狂いそうになった。いいや、既に狂ってしまっていたんだろう。昔は銀髪で髪も長かったのに、今となっちゃ…この有様。この髪色が、アリシアがとても好きだったものだった。だが、それすら失った。俺は、何者でもない。…全て、奪われたから。

"白壊聖"の二つ名を冠するガルテア・レーリックと、"黒き不死鳥"の二つ名を冠するアリシア・シエルビィ…前者は俺の親友で、後者は…俺の恋人だった。だが、二人とも死んでしまった。ガルテアは純粋に戦って、猛者にやられた。そっちは、許せるか許せないかで言ったら許せなかった。だが、何よりも、黒炎の起点となった原因が…アリシアの死にあった。いや、正確にはそれだけでは無かったが…だが、起点になったのはその時だったんだ。
それは、ある戦争の時だった。


「ヴァイレス………大丈夫?」

「嗚呼、問題ない。すまない…アリシア。」

「ううん、いいんだよ。あなたが生きてくれていて、良かった。」

戦いが苛烈になってゆくこの戦場では、一瞬の油断が死に直結してしまう。そんな中、俺達はなんとか生き残っていた。"黒い不死鳥"と言われる程の治癒力が誰よりも高く、その力は正に不死鳥が如き物だった。それに何度助けられたことか。それでも戦いは終わらない、さっさと終わらせたくて戦った。
終わらせて、アリシアと幸せな日々を送りたいから。だが、そこで悲劇が…起きた。

「チィ…しぶといなッ…!」

一人の敵兵と戦っていた。いや、今思えば敵兵ではなかったのだろう。黒色のローブを着ていた奴が、何度も何度も俺の斬撃をくらっていたはずなのに、倒れることがなかった。それどころか、途中で避けられ始め、攻撃が当たりもしなくなっていた。その瞬間だった。

奴の掌から、透明の斬撃が…いや、透明ではなかったが、透明と言わんばかりに速すぎた斬撃が飛んできた。だが俺は、見えなかった。未熟で出来損ないだったから。だから、知らぬ間に身体を両断されるんだと感じていた。だったのに…

「ヴァイレスっ!!」

アリシアが、俺の身体を突き飛ばして、そのアリシアが斬撃をくらった。その斬撃は、正に人の命を容易く刈り取れる程に鋭かったものだった。そう、その一撃はアリシアを致命傷に至らせた。

「アリシア………?」

「ケッ、狙いとは異なるが充分っちゃ充分か。ククク…」

ローブの男はただケタケタと笑い、そして距離を取った。俺はそんな事が凄くどうでもいいと感じていた。それよりも、アリシアを治療しなくてはならないと感じた。だから、急いで駆け寄った。

「アリシアッ!しっかりしろ、今………ッ!」

「ごめ、んね………治らな…いや………やられちゃった…なぁ…。」

俺が何度も魔法で治癒を施しているのに、止まらない出血。掠れていくアリシアの声。意識を保つことでさえ必死になっていた。だが、俺は嫌だった。アリシアが死んでしまうのが嫌だった。だって、だって…この戦いが終わったら、戦から身を引いて、大人しく二人で…家庭を築いて…だから…ッ!

「死ぬなッ!!死なないでくれ、アリシアッ!!そんなのは嫌だッ!!!」

どうして治癒魔法が出来ない。どうしてアリシアのこの傷を治癒出来ない。どうして護れない、嫌だ、死んで欲しくない。俺の頭は、そんな感じで混乱どころか…錯乱すら起こしていた。どうすればアリシアを助けれるかで、頭がいっぱいだったんだ。

「…ヴァイレ、ス…やく、そく…まもれないか、も…」

そんな時に、アリシアは掠れた声でそう言った。約束、約束、絶対に果たしてみせる、だから死なせたくない。死なせたくないのに、どうして何も出来ない。

「嫌だ、そんなのあんまりだッ…!だって、一緒に、家庭を築いて幸せに暮らすって言っただろ…ッ!守れないなんて言うなッ!絶対に、救って───」

「ごめん、ね…これ、治らな…い………力…私で、も…むりなの………だか…ら…やくそく、まもれない………の…ごめんね…」

涙を零しながら、俺の方を見つめる。そんな目で、悲しそうな目で見ないでくれ。治らないだなんてことはない、そんなめちゃくちゃな話があってたまるか。絶対に治すんだ。護りたい。だって…

「…ガルテアだけじゃなく、お前まで死んだら…俺は何を生き甲斐にして生きればいいんだッ…!!」

「……………弟君たちと、妹ちゃんが、いる…でしょ…もう、こまった、ひと…なんだから…。」

嗚呼、弟と妹達がいる。だが、だとしても…アイツらと同じぐらい信頼出来た、そして好きでいれたお前達を失うのが嫌だった。だというのに…俺はッ………!!

「…ゔぁい、れす…………ありが、とう………さいご、さいごに…………あいして、いました………」

アリシアはいつも俺に向けていた、優しい微笑みを浮かべながらそう言って、何も出来ないまま…息を引き取った。守ることが、出来なかった。救うことが出来なかった。やっぱり俺は出来損ないだ。やっぱり俺は人間以下の存在価値だったんだ。冷たくなったアリシアの身体を、強く抱き締めながら、そう卑下をしていた。
そんな時だった。あのローブの男が、俺を嘲笑うように、

「弟と妹……嗚呼、そういや、こんなヤツらだったっけかァ?」

と、そう言って、何かを取り出した。
それを見た俺は、何も分からなかった。いや、正確には分かりたくなかった。だって…
弟と妹達の…三人の、首が、そいつの手で髪を持ち上げられて、いたから。

「は…………………?」

分かりたくなかった。…いや、違う。これは夢だ、現実ではない。アリシアが死んだのも夢、嗚呼そうか、皆死んだのは夢を見ていたからか。長い夢だ、さっさと目覚めないと、そう思考を巡らせていた。………現実逃避を、していた。だが奴は、それを許さなかったのか…

「ちゃんと現実なんだぜ、これ。いやァ、良い死に様で鳴き声だったなァ。殺してて気持ちよかったぜ〜?特に次男の方、俺を殺そうと剣を振り回してきたが、雑魚過ぎて1回も当たらなかったしよォ〜!」

それを聞いた瞬間、俺の中で何かが目覚めるような感覚を感じた。これが何を意味するのかは分からない。だが、何よりも…許せなかったのは………

「…アリシアを殺し、挙句の果てには弟達にも手を掛けた…貴様、狙いは俺か。テメェに、恨みを与えたはずはッ…………!!」

「お前だけじゃない、ヴァルフレム家その物に恨みがあんだよ。長年の恨みって奴だな。本当ならあの一撃でヴァルフレムの血を根絶出来るって思ったんだが…余計なことしてくれたよなぁあのアマも。まぁいいぜ、直ぐにお前もあちら側に送ってやるからよォ。…ま、アレだな。ヴァルフレムに産まれたのが運の尽きだなァ!」

家に対する、恨み?それも昔のこと?…ふざけるな、そんな自分勝手な理由で、なんの関係もない弟達を、アリシアを殺して………何がいいんだよ。俺達が何をしたと言うのだ、何もしていないっていうのに、何故!!!俺達はただ幸せに行きたかった。ただ、ただただ普通に暮らしたかっただけだったッ!!それなのに、ヴァルフレム家の人間として生まれたのが運の尽き?ふざけるな………

「お前だけは、殺す………殺す、殺すッ……………ぶっ殺すッッッ!!!!」

そう言った途端、俺の内にある怒りが、力として発現された。そう、"黒炎"だ。だが、その時は…自由に操れなかった。だって………俺は………もう…………

「な、なんだあれはァッ…!?」



とある戦場で、一つの黒き炎の柱が、大きく立った。それはとても熱く、遠目から見ても、怒りを感じ恐怖を掻き立てさせるものであった。そうして、炎が晴れた時だった。そこにいたのは、マッシヴで巨大な身体に、爛れた鱗のような肌、体のあちこちから燃え盛る黒き炎、長い尾に二本の角などもはや大怪獣と言ってもいい程の外見をしていた…正に、黒き獣であった。

そして、その黒き獣が放った咆哮は、戦場全体に鳴り響く程の物であり、そして黒炎が周辺に舞う。それは敵味方関係なく焼き尽くす程だった。そして、暴走をするかのように戦場を暴れ回り、敵を、味方を、殲滅していった。黒炎で、滅茶苦茶にしたのだ。

「クソが………形振り構わず暴走しやがったな…だが、今ここで殺せば、俺は大英雄かもなァ!!」

ローブの男はそう言って、黒き獣を討滅せんと動いた。能力による斬撃をいくつも飛ばしながら、黒き獣を削った。だが、彼は違和感を感じさせた。なぜなら………
その黒き獣に、傷が付いていないから。いや、正確には…その傷をも焼き切ってしまっているから。

「嘘だろッ…!?…チィッ、ここは一度身を引くしかねぇなッ…!」

ローブの男は、現時点で討滅することは不可能だと察知し、その戦場から身を引いた。
だが黒き獣は、殺すべき相手を見失ったことで、更に暴走をした。形振り構わず殺しまくったことで、ほぼ誰も生き残りがいないその戦場を、黒き炎で焼き焦がしたのだ。正に、漆黒の焦土と化したのだ。

そこから一週間が経った時だっただろう。暴走を終え、元の姿に戻ったヴァイレスは…自分の姿に変化があったのを知った。

「……………………嗚呼、もう俺は…あの頃の色には…戻せないな………」

月夜の明かりに照らせば輝く銀色の髪が、真っ暗な黒色の髪となり、瞳の色も黒色だったものが濃い紫色となった。アリシアが好きだった、あの髪色では無くなった。誰かの為に何かをして守る…そんな人間ではなくなったのだろう。怒りの黒き炎を身につけたことで、俺はもう、何者でもないと、自己嫌悪に塗れた。










そこから数年…そう、現在。事態は急に起きた。ヴァイレスは丁度その事を思い出したことをきっかけに、何かに呼ばれていたのだ。


『目覚めよ、憎き物は全て怒りで焼き尽くせ』


その呼び声に、ヴァイレスは苦しみながら抗った。

「黙れッ…今、そうなってしまったら…俺はッ…!」

しかし、その呼び声に抗い切れず…なってしまったのだ。あの日をきっかけに、黒き獣は"黒き災厄の獣イフリート"と称されていた。数年越しに、あの黒き獣、イフリートと化してしまったのだ。
だが、あの時と変わった部分があるのだ。それは、"黒炎翼"による、鳥の形をした翼が三対六枚あった。たったそれだけだと言うのに、それだけであの頃よりも強さをまた増している物を感じさせた。

そして、エクスピアシオン王国の上空にて、吠えた。憎しみを、悲しみを………怒りを。正に王国を破壊せんと動こうとする、前置きのように。そこで、一人の男が現れた。

「………ヴァイレス・ヴァルフレム。貴様は何を成さんとしているのかは知ったことでは無いが…王国を破壊しようものならば、この私が止めよう。光の顕現術の、真の力を発揮する。」

傲慢の秘書にして撃滅の朧、日車 柊斗。空飛ぶ黒き獣がヴァイレスであることを見抜き、それを止めるべく率先に動いた忍である。そして、日車は詠唱を行う。

「………光天 天空の頂 不滅の光 降臨。」

光を纏い、転法輪印の印を結び、光の顕現術とは異なる詠唱を行った。すると、イフリートよりも上空へ光が飛び、その地点で大きな光が放たれる。放たれた光が晴れると、そこにいたのは、一匹の竜であった。スリムな胴体に対してかなり巨大な翼と長い尻尾を持ち、翼の付け根に槍のように尖った腕がある、少し特殊な姿形をした竜。
彼が使ったのは、光の顕現術ではなく、光の降臨術である。そう、これは顕現術の中でも唯一行うことが出来る、顕現術のモチーフとなった其れがそのままの姿形で降臨させることが出来る物。名をバハルム。又の名を…バハムート。

『これを以て、黒き災厄イフリート…貴様を討つ。』

そうして先手を打ったのは、バハムートとなった日車。槍のように尖った腕から、無数の細い黄金色の光線を撃ち出すメガフレアで、イフリートを狙う。しかしイフリートもそれを避けるように滑空し、翼から黒炎球を無数に撃ち出すことで相殺させる。それだけではなく、イフリートは急接近してその爪でバハムートを切り裂きに行く。

『直線的な攻撃、私に通ると思ったら間違いだッ!』

しかしバハムートはそれを回避し、小さな脚でイフリートを蹴っ飛ばした。しかしイフリートはその痛みをまるで感じていないかのように、また急接近して攻撃を仕掛ける。

『愚直だなッ…!』

それを見たバハムートは周囲に光球を発生させ、そこから無数の光線を放ちイフリートに命中させる。しかしイフリートはそれでもと言わんばかりに突っ込んできては、バハムートの顔面に右ストレートのパンチを繰り出した。それによりバハムートは軽く吹き飛ばされ、直ぐに姿勢を直す。

『…まさか、痛みを感じずにそのまま突っ込んでくるとはな…ッ!』

そう、ここまでしてくるのは日車にとっては想定外。だが、ここで負けては王国は勿論…傲慢の司教に悲しい思いをさせることになるかもしれない。そうなってしまってはならない、ならばここで、討滅する。日車は、最大限バハムートの力を引き出して戦う心積りでいた。

『ここで討たれよ、イフリートッ!貴様は怒りで害を成す、そんなモノがこの世にいてなるものかッ!』

そう言って、バハムートはその巨大な翼で羽ばたいて、また…メガフレアを放つ。イフリートもまたそれに抗う為に黒炎球を放つも、メガフレアの威力と数によって押され、どんどんとイフリートに命中しては爆発していく。

だがイフリートはまたそこから急接近をしたが、バハムートもそれに避ける為、高速移動をして、イフリートと距離を取りつつ、メガフレアや光球の光線を放ち、イフリートを着々と削っていた。そう空中戦のチェイスのような物。それによって、どんどんと高く飛行していき、そこに雲があるのならその雲よりも上の方へとチェイスしていく。

その時だった、急接近出来ないと見たイフリートが次の一手として、口から黒炎の巨大ブレスをバハムートに向けて放った。それは、正に命中したものを焼き消さんとする程の物である。それに対しバハムートは…

『この技まで使う羽目になるか、だが出し惜しみはしないッ!!』

翼を大きく広げ、そしてバハムートの腹部分で大きな光球を形成した。それは、まるでエネルギーを、光属性の力をチャージをしているかのように。そして黒炎のブレスがバハムートに近くなったその時、極太のビーム…ギガフレアを放った。それは、黒炎のブレスを凌ぎ、ブレスを放ったイフリートの方へと押し通しては、着弾と同時に巨大且つ高威力な大爆発を起こした。


グオオオオオオオッッッ!!!


数秒置いた後、世界の端まで鳴り響くかのような大きな咆哮。それにより大きな黒煙が晴れ、その時見えたイフリートには、身体を黒炎によってどんどんと纏いつつあった。それを見たバハムート…日車は、嫌な予感を察知し、口から大きな光球を撃ち放ち、イフリートに命中させることで円柱のような爆破が起きた。それを何度も放っては爆破させ、それを止めようとしていた。
だが、それでも止まらなかった。その時には、イフリートの身体が黒炎によって燃え盛っていた。すると、咆哮と共にイフリートを中心に黒炎の熱波を出す。そう、黒流焦土である。王国をじわじわと、煉獄の熱さで焼き焦がそうとしていた。無論バハムートもその影響を受けていた。

『ぐっ…………このままではッ…!』

次なる一手を打とうとしたその時。
イフリートの前に一つの光が見えた。その光は、バハムートからは良く見えず、そしてよく分からなかった。あれは、バハムートの力で作られた光ではない。それだけは理解出来た。しかし何より不可解に感じたのは、イフリートが、それを見たと同時に、黒炎の熱波が収まったのだ。イフリートは、それを1点に見つめていた。その目には、目が泳いでいた…そう、動揺していたのだ。きっと彼には、何かが見えていたのだろう。
イフリートの動きは、止まった。完全に。とても悲しそうな目をして、その光を見ながら。生き甲斐を失ってしまった、男の目をしていた。
そんな時、日車の脳内に語りかけるかのように、一人の女性の声が響き渡った。

─お願い、ヴァイレスを止めて。この姿から、解放して─

その言葉を聞いた日車は、元から括っていた腹を更に括った。それが願いだと言うのならば、元は義を重んじていた一族の忍として、遂行せねばならないからである。

『…任せよ。』

小さく頷き、ギガフレアの構えを取る。そして…放つ。先程よりも威力を増したそのビームは、イフリートに命中すると、先程よりも更に大きい爆発を起こした。暫くして、その爆発が晴れた後、ヴァイレスはそこにはいなかった。どこに落ちていったのかも分からない。その頃には、日車もその力を使い果たし、ゆっくりと地上に落ち、そして、傲慢の教会辺りの地面に着地するところで降臨術を解除した。

「…グフッ…流石に、力を使い過ぎたか………。」

それと同時に、多少の吐血をした。降臨術とは顕現術よりも強力ではあるが、その分負荷も大きい。日車自身も、あまり使いたくない手ではあったが、今回の件に関しては致し方ないと言ったところだ。
そして、ヴァイレスはどこに飛ばされ落ちていったかと言うと………帝国が所有している、フリーデン海であった。どうしてここに行き着いたのかは全くといって不明ではあったが、ただ単に落ちた先がここであったというだけ。フリーデン海の浜辺で、大の字に倒れていながら、空を見ていた。

「……………なんで、お前が…出てきたんだ。…アリシア。」

きっと、あの空よりももっと天にいるであろう、死んでしまった恋人がどうしてあの時出てきたのかが、分からないまま…ずっと、空を見ていた。これから俺は、どう生きていけばいいんだろうか。そんな考えすら出てくるもの、一瞬にして分からないと蓋を閉めて考えることをやめた。今はただ………この海の波音を聞き、潮風に当たっていたい。
在りし日のヴァイレス
进行一个xp的捏3.0より
アリシア・シエルビィ
証明々(顔)より
ガルテア・レーシック
我流審捏捏()より
返信
返信0
みくろんさん (8u8s1vq4)2023/10/23 07:33 (No.76257)削除
【plan】


強欲信者…スティルス・エヴリィは自身の隠れ家である廃墟で思案する。


何時、何処から攻めいるか…作戦の第一ターゲットを決めている。


「(正直何処でも良いんだよね。司教では僕を殺せないし)」


司教を舐め腐った傲慢で適当な結論。何かを思い付いたのか駒を取り出す。


其々の駒には


『マモン』『ルシファー』『ベルゼブブ』『レヴィアタン』『サタン』『ベルフェゴール』『アスモデウス』という悪魔が描かれていた。


ぽいっと箱の中に駒を投げ、ガチャガチャ的に一つの駒が出てきた


「(『マモン』…強欲かなぁ次行くのは。もう僕もおさらばかな)」


強欲信者の裏切り、其れは簡単に終焉を迎えるか、強欲の運命を変えるかは、まだ、誰も分からない。
返信
返信0
みくろんさん (8u8s1vq4)2023/10/19 19:16 (No.75913)削除
【少年ノ悪夢】



『_何で!何で助けてくれなかったの!』



「…ごめんなさい…!ごめんなさい…!」



黒髪黒眼の少年。スティルス・エヴリィは『あの日』からとある悪夢を見ることがある



殺された自分の家族…特に妹が夢に出てきてスティルスへの恨み言を吐くのだ。…こう見えてスティルス・エヴリィは元々はとても精神が弱い。だから此の悪夢には何度も何度も…今も苦しめられている



【とある大陸】



焼け焦げた沢山の亡骸がある景色。其処に明らかに場違いな赤髪赤眼の一人の少女と、こんな暑い空間でも白いコートを着た、中性的な顔立ちをした子供が居た



「ぁ…また殺しちゃったの…?」



赤髪の少女は力無く呟く



『うん☆まだキミはまだ力を制御できていないよ~?』



白いコートを着た子供は其の言葉に対して軽い感じで返す



『キミの能力は強すぎるから~☆制御しないと『おにーさん』を殺しちゃうかも知れないよぅ?』



「お兄ちゃん…私頑張る」



赤髪の少女はまた、身体に力を入れる



『ふぁいと!『パピヨン・エヴリィ』』



赤き惨劇はもう近い
返信
返信0
みくろんさん (8u8s1vq4)2023/10/16 08:36 (No.75494)削除
【とある遺跡】


ボロボロになった人気の無い遺跡に、二人の少年が立っていた



「珍しいじゃないか。君が神社に向かうのは」



黒髪黒眼の首に鈴をかけた少年が笑って言う



『…少し、昔の友を思い出してな』



金色の髪に、群青色の左眼、右眼を包帯で隠した特徴的な少年が言葉を返す



「へえ?君に友達何ていたんだね~?」



黒髪黒眼の少年が意外というように笑う



『…ククッ。我も意外だよ。友が居たことなぞ』



特徴的な笑い声で金髪の少年が自嘲する



「え~其れでどんな子なの?」



気になるというように、黒髪黒眼の少年が問いかける



『強きものは引かれ会う…というが、奴は弱かったよ。其れは弱神よりも、な』



金髪の少年は思い出すようにいう



『助けたのだよ。此の『黄昏皇帝』である我がな』



金髪の少年の言葉に対して黒髪黒眼の少年は笑い始める



「…あはは!やっぱり君は根っからの善人だよね。良かったよ。君の優しさに気付いてくれる人が存在していてね」



『…御主の事だ。良かったなど思っていないのだろう?』



金髪の少年はいぶかしむように左眼を細める



「失礼だね。僕が嘘つきみたいじゃないか?」



失礼とは思っていないような笑みを浮かべる黒髪黒眼の少年。



『ククッ。どの口が』



愉快そうに金髪の少年も笑う。



二人の少年は笑いあった。



暫くして、黒髪黒眼の少年が話し出す



「そろそろ動こうかな。」



『ククッ。遂にきたか』



「あぁ。『神々の黄昏(ラグナロク)』計画を実行する時がね!」



「君とは戦う事になるだろうけどね。精々止めてみな!僕の計画、をね」



『我は『黄昏皇帝』ぞ?人間に負ける訳ないだろう?なぁ『スティルス・エヴリィ』』



「君もやられないように気を付けなよ『トワイライト』」



二人の少年は去っていった
返信
返信0
柊従さん (8u6e251k)2023/8/27 00:50 (No.70277)削除
【これは所謂 、 彼の日常を切り取ったものである 。 一部暴力シーンが含まれている為閲覧注意 。】





Noah・VIoletaは唯の一般人である。Noah・Violetaは色欲の信者である。Noah・Violetaは浮浪者である。Noah・Violetaはマゾヒズムである。___Noah・Violetaに喧嘩を売ってはならないである。

















喧嘩は好きでも嫌いでもない 。 唯 、 生きる為に必要な行為だった 。
彼は両親から絶縁された 。 帰る家も帰りを待つ人も居なくなってしまった彼が 、 辿り着いたのは犯罪や暴力に塗れたスラム街 。 外の世界を知らぬ彼にとって其処は 、 恐怖の地だった 。
辺りを見回せば薄汚い人 、 人 、 人だらけ 、 段ボールで作られた家 、 新聞紙を布団に見立て寝ているおじさん 、 酒缶片手に路上で寝こけている女性 。 此の世の最悪が一か所に詰め込まれた場所 。 目があえば怒鳴られ 、 傍を通れば殴られる 。 最悪な治安で数年間過ごしてきた彼が 、 喧嘩という自己防衛を取るのは必然だったのだ 。






___ 「 だから 、 まァ 。 そんじょ其処らの素人に負けるわけね ~ よな 」
















夜 。 今夜は誰の家へ行こうか 。 煙草片手に慣れた路地裏を通る 。 最近は男の家ばかりだから 、 そろそろ女が恋しい気がしなくもない 。 脳内で近くに住む女の家へ続くルートを展開させ乍歩いていた 、 そんな時 。

声を掛けられた 。 振り返ってみれば 、 見知らぬおっさんが立っている 。 手には拳銃 。 相手の背後には何処からか集めたであろうお仲間さんがぞろぞろぞろぞろと 。 軽く50人程だろうか 。 にやにやと気味の悪い笑みを浮かべ 、 此方を凝視していた 。



先頭に立つおっさんが拳銃を構える 。 発砲する 。 彼は当然の様に弾を避ける 。 右に 、 左に 、 のらりくらりと 。 暫く 、 そんな攻防戦を繰り返していれば銃の弾が尽きた 。 先頭に立つおっさんの合図と共に迫り来るお仲間さん方 。 1 vs 50 。 彼にとっては少々部が悪い喧嘩 。 …… 否 。 彼にとって数などハンデにも値しない 。
先頭のおっさんには低く構え 、 下から拳を振り上げて綺麗なアッパーを決める 。 その隙を狙う奴には先程のアッパーの勢いを生かし宙へジャンプし回し蹴りを一つ 。 鍛え上げられた脚力のお蔭で滞空時間が異様な程に長く 、 飛び回し蹴り → 踵落としで数名を不能に 。 後は只管拳で戦うのみだ 。 殴る 、 殴る 、 時折足を引っ掛けて転ばせてから踏んだり 。 不思議と相手の攻撃は一つも当たっておらず 、 気が付けば辺り一面血まみれ屍だらけ 。 武器を持ってしても誰一人として彼に傷をつけることができなかったのだ 。






全員が伸びた事を確認した彼は 、 小さく溜息を付いた 。 そして 、 屍を一ヵ所に積み上げると同時に喉元を落ちていたナイフで深く切り込み 、 積み上げられた山の頂上に腰を下ろした 。 とはいえ屍の数が少なく 、 小さめの山が一つ出来た程度だが 。 大量虐殺 ? スラムではそんな事日常茶飯事 。 とっくの昔に人を殺しているので一人殺そうが云十人殺そうが罪の重さは同じである 。 彼の両親はとんでもない化け物を生み出してしまったのだと気づくのはそう遠くない未来の話だ 。
懐から煙草を取り出し 、 火を付けて吸う 。 灰に煙が溜る感覚に目を細める 。 鼻からすう ッ と煙を吐き出しては夜空を眺める 。 星々が “ 僕を見て ! ” と言わんばかりに光り輝いている 。幻想的な星空を 、 穢し侵してく様に 。 紫煙が上へ上へと登っていく 。





「 動いた後の一服程美味いモンね ェ よなァ … 。 な 、 そう思うだろ ? __ 遡或( ソア ) 。 」「 … ぁ 、 バレた ? 笑 」 「 バレバレ 。 つ - か隠れる気無か ッ ただろお前 」 「 ンはは 、 まぁ良いじゃないっすか ! 其れよりものあっち 、 ま ~ た腕上げたっすね ~ ! 」 「 ど ~ も ォ 、 場数は踏んでるもんでね ェ 」 「 目 ! のあっち目ェ死んでる ! 死んだ魚の目してるっすよ ~~ ! 」 「 はは 、 駄犬がキャンキャンうるせ ~ 」 「 酷い ! 」






残り短くなった煙草の火をケツに敷いてる屍の額に押し付け 、 鎮火 。 けらけらと他愛も無い話をしつつ山を下りれば 、 遡或と呼ばれる男と共に屍に背を向け歩きはじめた 。 まるで 、 何もなかったかの様に 、 さも平然と 、 調子を崩さず普段のペースで 。 その場を後にした 。




























__Noah・Violetaに喧嘩を売ってはならない 。 倍返しを喰らうからである 。 喧嘩が強いからである 。 死にたくないのであれば 、 彼とは平穏な関係でいる事が得策である 。 
                                               [スラム街市長]








_________







「 あ 、 返り血ど ~ しよ 。 女ん家此の儘じ ャ 行けね ~ 」 「 ンじゃうち来ます ? 丁度近場っすよ ~ ! 」 「 お前んち香水クセーからヤ 。 」 「 酷い ! … セーフハウスなら全然使ってねぇから臭く無ぇっすよ ! 」 「 ンじゃ其処迄おぶって 」 「 無傷が何言ってんすか ! もう … 」 「 __ 遡或 、 お願い 。 ね … ? ♡ 」 「 … ~~~ ッ だァァ ! わかりましたよ ! その声弱いのわかっててやってるからこの先輩は … !! 」 「 はは 、 ちょれェ ~~ 」












彼の日常平凡な日常 。
返信
返信0